【薬事日報掲載記事】きめ細やかなコンサル対応‐リピーター支持厚く好業績
本内容は、薬事日報 第12937号 9面 2024年09月30日 非臨床試験受託機関特集にて掲載された内容となります。
化合物安全性研究所(札幌市)は、主力である医療機器の生物学的安全性試験および農薬の再評価案件が堅調に推移し、昨年度は過去最高の売上高を更新した。インフレに伴うエネルギー価格高騰の影響もあったが、リピーターからの強固な支持が好業績につながった。同業CROとの協業も広がりを見せ、特に臨床事業では、他社との連携による受託能力拡大により、医師主導治験等の引き合いが増えつつある。取締役営業部長の酒井大作氏は「開発品目の特性に応じた最小限の試験パッケージの提案など、きめ細やかなコンサルティング対応を付加価値として認めていただいたリピーターにしっかり支えられている」と話す。
昨年度の非臨床事業は飼育室の高稼働状態を維持。特に重点領域に掲げる医療機器の生物学的安全性試験や農薬の再評価に伴う安全性試験の受託が底堅さを見せた。これら受注が牽引する形で収益拡大を達成した。
最大の要因として、全国の医療機器メーカーのリピーターによる支持がある。酒井氏は、「試験の選択などに関するコンサルを含めた問い合わせが増加傾向にある。目的に応じた最小限の試験パッケージを提案できるCROは、あまり多くはないのではないか」と自信を示す。
松井豊社長も「コンサル機能を付加価値と捉えていただける顧客が増えている」と実感を話す。
世界的なインフレの影響で、非臨床試験に関わる光熱費や飼料、動物等の価格が上昇している。松井氏は「材料価格の上昇を価格に転嫁せざるを得ないが、顧客からはコンサル機能の付加価値を加えた適正価格として理解いただけているのではないか」と手応えを語る。
非臨床CRO業界のプレイヤーが変化する中、様々な依頼に対応できるよう同業CROとの連携強化も進めている。酒井氏は「中堅CROがタッグを組み、大手とは異なる価値をどのように提供していくかを常に考えながら、小回りの効いたサービスを提供していきたい」との考えを示す。
特に医療機器の非臨床試験は、大手CROが積極的に参入していない領域だけに、「われわれ中堅や小規模CROが医療機器の市場をサポートすることで存在価値を示したい」と意欲を語る。
一方、受託体制の強化を進める臨床事業については、同業CROとの連携による幅広いサービスの提案が功を奏し、医師主導治験の受託が増えつつある。最近では、大学発ベンチャーによる企業治験のフルサポートにも取り組んでいる。
また同社は、臨床事業における人材派遣のニーズを踏まえ、昨年度に労働者派遣事業の許可を取得した。アカデミアからの派遣依頼に対して、柔軟に対応し、さらなる関係強化にもつなげていきたい考えだ。
非臨床と臨床の両事業に関わる化学分析の体制強化も進めており、非臨床試験におけるTK測定のみならず、臨床試験におけるPK測定の内製化を目指す。酒井氏は「両事業において分析機能の重要性が高まっている。動物実験に代わる評価方法として、分析結果を用いた安全性評価対応の受託も視野に入れながら、分析体制の強化を図っていきたい」と話す。
同社は、長期経営計画におけるセカンドステージの2年目を迎えた。松井氏は「売上高、利益面では順調に来ているが、当初設定した三つのミッションに関しては未達の項目もある」と楽観視はしていない。実際、臨床事業の組織体制強化を課題に挙げていたが、人員確保が遅れているのが現状で、松井氏は「アカデミアからの引き合いは増えており、体制が整えばミッションを達成できる手応えは感じている。そのためにも今年度の取り組みが重要になる」と気を引き締める。
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